横浜市青葉区たちばな台病院・たちばな台クリニック

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#5 学生を中心に一緒に考え、整える 髙橋厚史さんが語る、コンディショニング支援の本質

#5 学生を中心に一緒に考え、整える  髙橋厚史さんが語る、コンディショニング支援の本質

第5回 学生を中心に一緒に考え、整える  髙橋厚史さんが語る、コンディショニング支援の本質

#たちばな台病院リハビリテーション科  #日本体育大学バドミントン部  #CCH

最終回では、実際に現場で学生たちと向き合ってきた髙橋さん自身の言葉に耳を傾けます。そこにあったのは、専門職としての知識を一方的に伝えるのではなく、学生の感覚や目標を大切にしながら、最終的には、学生自身が自分の心と体を大切にできるよう、行動変容を促していく姿勢でした。

コンディショニングは”治療”ではなく”対話”から始まる

髙橋さんは、日体大バドミントン部での関わりを、あくまで「治療」ではなく「コンディショニング」だと位置づけています。理学療法士として病院で担うのは、ケガや病気によって低下した機能を回復へ導く仕事です。一方、部活動の現場で必要なのは、いま起きている疲労や違和感を一緒に確かめ、今後どう整えていくかを学生とともに考えることだといいます。

「普段、僕の仕事は、怪我や病気によって低下した機能を回復したり、運動を促したりしながら治療をしています。ただ、ここではそれをしてはいけないので、ケアを通して学生のコンディションを一緒に確認するようにしています」

髙橋さんが学生の状態を確認する様子

2024年10月頃から関わり始めた当初、学生たちは自分の身体の状態をうまく言葉にできないことが少なくなかったそうです。『痛い』『分からない』で止まってしまうと、次に何をすればよいのかも見えにくい。だからこそ髙橋さんは、動画を使ったり、身体の動きを言葉に置き換えたりしながら、互いに理解できる形を丁寧につくってきました。

方法よりも、「何のためにやるのか」

「時間をかけて、動画を使ったり、学生の動きを言語化したり、お互いが理解できるように工夫してきました」

その積み重ねの中で、最近では学生の側から自分の身体に関心を持ち、自分でケアしようとする姿勢が見られるようになってきたといいます。ここには、第2回・第3回で紹介したような変化が確かに通じています。不安が減った、ストレッチを自分から続けられるようになった、フォームや身体の使い方を考えるようになった。そうした変化は、髙橋さんが“方法”よりも「何のためにやるのか」を大切にしてきたからこそ生まれたのかもしれません。

体育館で学生とコミュニケーションを取る場面

「より良い方向に進んでいけるよう促すためには、学生それぞれの目標をお互いに共有して、今後どのようなケアをしていくのか、しっかり話し合うことが必要なんだと思います」

役割を守ることが、信頼につながる

ここで重要なのは、専門職として正しいとされている方法だけを押しつけないことです。一般的に良いとされる方法が、目の前の学生にそのまま当てはまるとは限りません。大会の時期、練習量、性格、受け止め方、将来の目標。そのすべてを踏まえながら、その人にとって納得できる形に整えていく。だからこそ学生も、自分ごととして取り組みやすくなるのでしょう。

一方で、髙橋さんは自分の役割の線引きも明確にしています。身体に触れることで、疲労がたまっている場所や身体の使い方の癖、姿勢の傾向はある程度予測できる。しかし、その問題が技術指導に関わるなら、必ず大束監督に相談して意見をもらう。自分はあくまでケアの立場で関わり、必要なときに監督や病院へ橋渡しをする。その役割分担を守ることも、信頼されるために欠かせない姿勢です。

動きを見ながら言葉をすり合わせる場面

「明らかに構造的な問題が疑われる場合には、医師による適切な診断が必要になりますので、速やかにたちばな台病院へ受診するよう勧めています」

CCHが大切にする支援のかたちへ

この“つなぐ力”は、CCHが大切にしている地域との関わり方にも重なります。その人の話を聴き、背景を理解し、今だけでなくその先を見据えて支えること。必要なときには病院の機能につなぎ、また日常へ戻っていけるよう支えること。髙橋さんの活動は、スポーツの現場にいながら、まさに当院が目指す支援のかたちを体現していました。

第1回から追ってきたこの連載を通じて見えてきたのは、コンディショニングが単なる“ケア”ではなく、人が自分の身体と向き合い、未来の選択を変えていくきっかけにもなりうるということです。病院の専門職が地域に出て、人とつながり、伴走する。その積み重ねがまた新しい活動を生み、地域との信頼を育てていく。今回のボランティア活動は、その可能性を静かに、しかし確かに示してくれました。

Profile
髙橋厚史(たかはし あつし)
たちばな台病院 リハビリテーション科 理学療法士
日本体育大学バドミントン部でコンディショニング支援を継続
学生の感覚や目標を尊重しながら、伴走型の支援を実践している

 

Closing  全5回の特集を通して、病院の専門職が地域に出て伴走することの意味、そしてCCHが大切にする“未来につながる支援”の姿が見えてきました。