はじめに:「上から決められた変化」に疲れていませんか?
Vol.1、Vol.2、Vol.3でご紹介してきたように、たちばな台病院は横浜市青葉区の「あおばモデル」を支える病院として、次の3つの柱を掲げています。
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総合診療の強化:地域の「かかりつけ」として、いざという時も安心を
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人材育成とDX推進:未来の医療を支える「人」と「仕組み」づくり
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地域づくり:病院から地域へ、そして地域と共に
でも正直なところ、「仕組みづくり」と聞くと、また上から決められた変更が降ってくるのかな…と身構えてしまいませんか?だからこそ今回は、全く違うアプローチを試してみることにしたんです。
「現場の声」が出発点になった理由
これまでの病棟再編や組織運営は、トップダウン型で決定されることが一般的でした。
でも、C&CH(コミュニティ&コミュニティホスピタル)への転換を機に、私たちは“現場の声”を出発点とするボトムアップ型のアプローチに舵を切りました。
なぜなら、患者さんに最も近い場所で医療を届けているスタッフの視点こそが、C&CHの理念を現実にするカギだと考えているからです。机上の理論ではなく、実際に患者さんと向き合っている人たちが「こうしたい」と思うことから始めたい。そんな思いでスタートしました。
まずは自分たちの在り方を客観的に捉え直す機会として、他施設への見学・研修を積極的に取り組むことにしました。ここ数ヶ月で、10か所以上の病院や介護事業所を多職種で訪問。そこで見つけたのは、「こんなやり方もあるんだ!」という新鮮な驚きでした。
各施設での工夫や実践から多くを学び、「この視点は自院でも活かせる」「この取り組みがあれば○○が改善できるかもしれない」といった前向きな議論が自然と生まれるようになったんです。
こうした”外からの刺激”が、「変化って怖いもの」から「変化って面白いもの」への意識転換を後押ししてくれました。

栄養部から始まった「やってみたい」の連鎖
外部での研修をきっかけに、日々の業務で感じる「課題」や「気づき」について、職種を越えた対話の場が自然と増えていきました。医師・看護師・リハビリ・管理栄養士・医療ソーシャルワーカーなどが集まって、「どうすれば各専門職がもっと力を発揮できるか」「あの施設のあの取り組みを参考に、こんなことができないか?」と話し合う時間が生まれています。
そんな中で動き出したのが、“栄養”に関する現場主導の改善プロジェクトでした。
栄養部から「低栄養状態が長く続くことが、患者さんの回復や疾患に与える影響が大きい」という声が上がりました。「もっと患者さんのためにできることがあるはず」という思いから始まったこのプロジェクト。
まずは一定期間、栄養に関する基礎データの収集に取り掛かりました。これまで以上に頻回に記録・分析する仕組みを整備し、現状をしっかり把握することから始めています。そのうえで、多職種が定期的に集まり、課題の共有と対応策の検討、現場での実践と振り返り(PDCA)を進めています。
患者さんの状況や今後の見通しを考えた栄養ルートの提案、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)を踏まえた今後の摂取方法の話し合いなど、これまで以上に深く患者さんやご家族と話し合いながら進めていくことを目指しています。
小さな変化が生み出す「やりがい」の実感
栄養プロジェクト以外にも、入退院支援の連携体制を見直したり、退院後の生活を意識した情報共有の書式を刷新したり、摂食嚥下機能の評価・介入を強化する新たなチェックリストを導入したりなど、「仕組み」としての改善も並行して進んでいます。
これらの取り組みで感じているのは、患者さんの満足度が上がるだけでなく、働く職員のやりがいも明らかに変わってきていることです。「自分たちで考えて、自分たちで変えていく」という実感が、日々の仕事への向き合い方を変えてくれているように思います。
変化は時に不安や負担を伴います。でも、その先にある「よい変化」の実感が、さらなる改善への意欲を高めてくれることを、私たち自身が体感しています。
これからも、変化を恐れずにチャレンジを続ける文化を育み、地域や患者さん、そして共に働く仲間のために、より良い医療のかたちを共につくっていきたいと考えています。

一緒に「作り上げていく」仲間へ
そして今、この挑戦を共に担ってくださる新たな仲間を募集しています。
総合診療医として、あるいは医療・看護・リハビリ・栄養・相談支援を担うスタッフとして、地域に根ざした医療に関わり、暮らしに寄り添いたいと考えている方をお待ちしています。完成されたモデルがあるわけではありません。これから一緒に作り上げていくプロセスそのものを楽しみながら歩める仲間と出会えることを願っています。
たちばな台病院は、CCH総診が運営する総合診療専門研修プログラム・新・家庭医療専門研修プログラムの連携施設です。見学・訪問も大歓迎です。
