横浜市青葉区たちばな台病院・たちばな台クリニック

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第1回  高度急性期から地域へ。救急医療を支える“下り搬送”という連携

第1回  高度急性期から地域へ。救急医療を支える“下り搬送”という連携

救急車で運ばれた患者さんを、迅速に受け入れ、必要な治療につなげる。それは、高度急性期病院に求められる大切な役割です。

一方で、急性期の治療を終えた患者さんが、すぐに自宅へ戻れるとは限りません。高齢で複数の病気を抱えている方、入院をきっかけに体力が落ちた方、家族の介護力に不安がある方、退院後の生活調整が必要な方もいます。
そうした患者さんを、急性期治療のあとに地域で受け止め、次の療養や生活へつなぐ。現在、聖マリアンナ医科大学病院とたちばな台病院では、そのような「下り搬送」の連携を進めています。

聖マリアンナ医科大学病院ベッドコントロールセンターの加藤一徳さんは、同センターの役割について、「治療を必要とするすべての患者さんが、迅速に入院できる環境を整えること」だと話します。
予定入院、緊急入院、院内の転棟調整、他院への転院調整。病院全体の病床を見ながら、必要な患者さんが必要な医療につながれるよう調整するのが、ベッドコントロールセンターの役割です。

高度急性期病院には、重症患者さんだけが搬送されるわけではありません。二次救急、軽症の方、高齢者救急など、さまざまな患者さんが来院します。地域の救急をできる限り断らずに受け止めるためには、病院の中だけで完結するのではなく、地域の医療機関と連携しながら、患者さんを次の場所へつなぐ仕組みが欠かせません。
その中で、たちばな台病院との連携は、聖マリアンナ医科大学病院にとって大きな意味を持ち始めています。

下り搬送が本格的に始まった当初、加藤さんは「正直、最初はびっくりした」と振り返ります。
驚いたのは、受け入れ判断の速さだけではありません。医学的な課題に加えて、社会的な調整が必要になりそうな患者さん、退院支援に時間がかかりそうな患者さんについても、たちばな台病院が前向きに相談を受けていたからです。

「このようなケースでも受けてくれるのか。短時間で判断して決定してくれることに驚きました」救急の現場では、判断の速さが重要です。

たちばな台病院では、必要に応じて医師同士が直接話し、その場で受け入れが決まることがあります。聖マリアンナ医科大学病院の救急医から見ても、すぐに相談でき、すぐに返答があることは、大きな安心につながっています。

加藤さんによると、現在では「何かあったら、たちばな台病院に相談する」という流れができてきているといいます。医学的な面だけでなく、社会的な調整も含めて相談できる。その積み重ねが、病院同士の信頼につながっています。

この連携は、単に一人の患者さんを別の病院へ移す仕組みではありません。
急性期治療を終えた患者さんが、地域で次の療養へ向かえるようにする。同時に、高度急性期病院が次の救急患者さんを受け入れられるようにする。つまり、下り搬送は、地域の救急医療を守る連携でもあります。

たちばな台病院の伊藤龍一医師は、こう話します。
高度急性期病院には、高度急性期病院の役割がある。コミュニティホスピタルには、地域の中で果たすべき役割がある。高度急性期病院が本来の役割を果たせるように支えることは、地域の救急患者さんが困らないようにすることでもある。
たちばな台病院は、急性期の機能を持ちながら、地域の暮らしを支える病院でもあります。だからこそ、高度急性期からの下り搬送を受け止め、次の療養や生活につなぐことができます。

加藤さんは、たちばな台病院について「たちばな台病院がないと、病院の救急が回らない。それくらい助かっている」と語ります。
ただし、この連携の本質は、どちらかの病院を助けることだけではありません。
必要な治療を受けるべき人が、高度急性期医療につながる。急性期治療を終えた人が、地域の中で次の療養につながる。そして、次に救急医療を必要とする地域の人も、受け入れられる。
高度急性期から地域へ。病院同士が役割を分けながら、患者さんの流れを止めないこと。
それが、聖マリアンナ医科大学病院とたちばな台病院が進めている下り搬送連携の意味です。

次回は、この連携の先にある、患者さん本人とご家族の暮らしを支える取り組みについて紹介します。